蕪 : 石徹白かぶら

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品目:蕪

品種:石徹白かぶら

種苗区分:自家採種

自家採種歴:2006年より

Point! (2012年11月のある投稿記事より)

石徹白の在来種といえば「いとしろかぶら」ですが、これは石徹白の多くの家庭で冬の保存食としての漬けもの用に作っています。そして、自分のところで種を採ります。

いとしろでは、今では他の野菜に関して言えば、種を採るということはされず種は買うものという認識が一般的です。苗でもそうです。多くの人は近くのホームセンターで夏野菜の苗などを買ってきては育てています。

どうして「いとしろかぶら」だけは皆さん自分で種を採るのか、と考えるといくつかの理由が思い当たります。

まずひとつは、そして、やはりこの石徹白かぶらの漬けものが多くの石徹白人に愛され続けている、つまり美味しいということでもあるからでしょう。ただ冬に食べる漬けものが欲しければいまだったらスーパーでもどこでも漬けものは売っています。しかし、この冬が厳しく寒いこの石徹白だからこそ味わうことが出来るここの漬けものが食べたい、これが無くては冬は過ごせないと石徹白人は思います。

この厳しい冬の気候が石徹白かぶらを残してきたともいえるかもしれません。

もうひとつは、いとしろかぶらは販売用に栽培されているのではなく、あくまで自家用の漬けものの原料として栽培されている、ということです。つまり市場の要請にこたえるということがないので、多少形が悪かろうが大きさがバラつこうが関係ないということです。大切なのは漬けものとして美味しいかということです。

そこにはお金では計ることのできない価値があります。

経済活動とは無縁でいたことが幸いしてきたとも言えると思います。

もう一つ言うとすれば、やはりここ石徹白にそういった文化を受け継いできた人たちがい続けた、ということも言えるでしょう。そして、現在の石徹白ではこの「人が住み続ける」ということが最大の問題となっています。

石徹白かぶらは単なる“素材”としての野菜ではなく、石徹白の漬けもの文化そのものです。しかし文化というものはあくまで人がはぐくみ受け継がれていくものですが、その人がいなくなっていけば文化そのものは当然廃れて行ってしまいます。

幸い、今の石徹白にはかぶらだけとはいえ自分たちで種を採る人がまだまだいます。

こういった”習わし”をこれからも引き継いでいき、さらに他の野菜でも広めていければいいな。と思います。

そのためにも、ここをいつまでも”人が住み続けられる土地”であるようにしていかねばなりません。


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